ゲーム業界化する就活事情
【就活と自己実現】
http://srysrysry.blogzine.jp/meniutsuru/2005/03/post.html
| 現代はコンサルタントやシステムエンジニアのようなひと(「高度専門能力活用型」)と、派遣社員・契約社員・サービス業のようなひと(「雇用流動型」)が増えてきているとも書いてきた。 そうした職業に就くひとには「創造性」を発揮できて、常に「自己実現」を目指していて、「人とコミュニケーション出来る力」を持っている事が必要になっているようなんだ。 |
【ゲーム業界デジャヴ】
これってゲーム業界では、10年以上前から志望者に同じこと言ってるよなぁ。私が就活してた、5年前の空気を思い出してしまいました。
ゲーム業界(をはじめとするクリエイティブ系のお仕事)はたいへんな薄給なので、それをごまかすための自己責任論・クリエイティブ論・自己実現論による「お金 < やりがい という価値観の 捏造と洗脳 創造と教育」(+買い手就職市場を背景にした嫌なら辞めろ論)が支配的なわけですが、不況の波が押し寄せた結果、一般企業でも同様の理屈が叫ばれるようになったという事実は、なかなか興味深いものがあります。
給料が出せなくなると、すべて従業員の自己責任にして、「やりがい」を餌に洗脳しようとするのは、ゲーム業界だけじゃなかったんですね。一般企業も国も、余裕のなくなった組織がやることっていうのは、みんな同じなんですね。
ちなみにゲーム業界では、個性神話を強調しすぎたため、社会常識のカケラもない大量の「勘違い君」(こちらの『駄目な応募書類』の項を参照)を採用現場に呼び寄せてしまったという恐ろしい前例があるのですが、一般企業もこれからは、勘違い君の排除に苦労することになるのでしょう。
【就活で個性が求められる理由】
就活中の皆さんは、入社したらクソの役にも立たない「個性」やら「自己表現力」やらを企業から求められ、さぞかし憤慨していることと思いますが、企業は本音ではあなたの個性なんて必要としていませんから、真に受けぬよう。あまりにひどく洗脳されすぎると、入社後の落差に失望しますよ*1。
企業がこのような無意味な要求を求職者に課すのは、この矛盾に満ちた要求に対するあなたの反応から、「問題解決能力」と「社会性」を読み取るためです。あなたに本当に個性があるかどうかではなく、このような矛盾や欺瞞に対面したときに、「説得力と社会性を持った、企業受けするヘリクツ」を創造する力を見ているのです。
ですから、企業から「あなたにしかない個性を見せろ」と言われ、素直に「世界にひとつしかない、あなたが自作した個性的な萌え同人誌」を見せるのは、「社会性」の観点から見て、100パーセント間違いです。
このへんについては、「自己アピール」って何ですか?」という記事で、内田樹先生が感動的なほど見事にまとめられています。就活者は必見。ここの高橋がなり氏の記事もいいですね。個性を見せるのであれば、そのリスクを知ったうえでって感じかな?*2
【就活とはネタである】
つまり、就活で企業が要求する能力っていうのは、「タテマエ」であり「ネタ」なんです。ですから現在就活中の皆さんは、企業や就活サイトの言うことを、真にうけてはダメですよ。ネタにマジレス、カコワルイですから。
こういったネタに対しては、適当に、多くの人にそれっぽく聞こえるヘリクツを考えられればいいんです。社会で求められるのは、そういう能力です。ネタをネタと見抜けないような人は、社会リテラシー的に問題があります*3。
そういった意味で、ブログを書くなんていう行為は、ヘリクツ創造のいい練習になるかもしれません。あまりに独りよがりで内輪受け的な記事を書くのは逆効果なので、不特定多数の読者を意識した記事を書くことは、大前提ですけど。
【個性神話は最近の風潮なのか?】
それにしても、こうした個性神話って、本当に最近になって言われ始めたことなんでしょうか……?
冒頭にも書いたように、ゲーム業界ではかなり昔から同じこと言われてましたし、私が就活した5年前(2000年頃)には、一般企業でも多かれ少なかれ似たようなこと言って、就活者を煽っていた気がします*4。10年・20年前の就活経験者の意見が気になるところですね。
*1 実際、現在の若者の離職率の高さは、入社後に企業の欺瞞に初めて気付き、社会に失望してという面がかなり大きいと思います。
*2 がなり氏もリンク先で言っているように、リスクである以上、時と場所を選択し、上手に立ち回れば当然リターンもあります。要はバランス感覚。これもひとつの社会性。個人的にはあまりオススメしないリスクですが。
*3 私も、この方面に関してはかなりの問題があるんですけどorz
*4 もっとも私はゲーム業界にしか就活しなかったので、印象論にすぎないのですが。IT業界に転職したときには「職務経歴」が最も重視されたので、個性なんてまったく求められなかったですし。
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