ファッションにおける中二病の考察(2)
【自意識過剰を嫌う強い自意識】
まず、「隠れ無関心派」から見ていきたい。彼等は、本能的に「自意識過剰を嫌う自意識」が過剰な層だ。もっとわかりやすく言えば、「他人の眼を気にするのはカッコ悪い」、あるいは「他人の眼を気にしない俺、カコイイ(´ー`)y-~~」と考える人たちということになる*1。
彼等はその性質ゆえに、「同調派」「個性派」「ステータス派」の強い自意識に、生理的嫌悪感を感じてしまう。ファッションとは、そもそも自意識で成り立っていることを思い出されたい。ファッション界において、自意識を嫌う彼等の受け皿は、「無関心派」しか存在しない。こうして彼等は、自然と無関心派に流れることになる。
しかし彼等は、「真の無関心派」のように、自分の外見にまったく自意識を持っていないわけではない。ただ、ファッションの「自意識過剰っぷり」が嫌いなだけなのだ。彼等も「ええかっこ」はしたい。しかし、ファッションを気にすることは、イコール自意識過剰となってしまう、このジレンマ*2。
彼等は、一見すると「無関心派」とまったく区別がつかない。しかしそのメンタリティは、「無意識過剰」とはとてもよべず、明らかに「自意識過剰」であり、「中二病」的である。それも極めて重度の、だ。
ここまでの議論から、「無関心派」と「隠れ無関心派」の違いを表にまとめると、次のようになる。
| 外見への自意識 | 自意識を嫌う自意識 | 外見 | 中二病進行度 | |
|---|---|---|---|---|
| 無関心派 | 無 | 無 | オタク | 健常 |
| 隠れ無関心派 | 有 | 強 | オタク | 極めて重症 |
【隠れ無関心派が『ええかっこ』を決意するとき】
これまで見てきたような性質をもつ「隠れ無関心派」が「ええかっこ」を決意したとき*3、どのような行動に出るのであろうか?
答えは、"ALL or Nothing" である。自意識が比較的低く、他人ではなく自分のためのファッションを実践する、「自己満足派」に転向しようとするのだ。他の層は、ダメだ。ファッションが放つ「自意識臭」が強すぎる*4。
しかし前述したとおり、自己満足派にクラスチェンジするためには、長年のファッション経験と、そこで培われた「こだわり」と「知識」が不可欠である。隠れ無関心派から一足飛びに自己満足派へ転向することは、原理的に不可能だ。
しかし、「隠れ無関心派」の中でも特に「外見への自意識」が強い一部の者は、この橋無き大河を渡ろうと、濁流の中へ無理矢理身を放り投げていく……*5
こうして「エセ自己満足派」が誕生する。
【エセ自己満足派 = 脱オタ君】
勘のいい読者は、ここまで書けばおわかりだと思うが、「エセ自己満足派」とは、「脱オタ君」のことである。これは私の主観だが、脱オタする者は、「ファッションの自意識過剰っぷりは嫌いだが、外見への自意識は強い」者が多い気がする。
一例として、「脱オタクファッションガイド」管理人、久世氏の発言を挙げよう。彼は、自身のHPで次のように書かれている。
| そうやってガンガン服を買い漁って服オタク化していた俺にとっての転機が訪れたのは、ごく最近大学に入ってからだ。自分と同じ丸井系の服装をした奴を身近に発見したのがキッカケだ。もちろん、丸井系の大学生なんて腐る程いる。そいつが他の奴と違ったのは、「顔」だ。そいつの顔には、
「ボクってオシャレでしょ?」
と書いてあったんだ。 俺は愕然とした。 「もしかして、俺自身もずっと 『ボクってオシャレでしょ?』 オーラを発し続けていたんじゃねーか!?」 と。 こうして、オシャレを追求し続けてきた俺の5年間の旅は終焉を迎えた。 |
なんと見事な「自意識を嫌う自意識」の過剰っぷりであろうか!
ここまでの議論を表にまとめると、次のようになる。
| 個性派 | 正統派中二病 |
|---|---|
| 隠れ無関心派 | 裏中二病 (モテを決意すると『エセ自己満足派』にクラスチェンジ) |
| エセ自己満足派 | 脱オタ病 (修練により他の層にクラスチェンジ可能) |
【たかが中二病、されど中二病】
ここまで、「ファッション文化そのものが自意識の塊である」とし、それを積極的に嫌う「他人の眼を気にしない俺、カコイイ(´ー`)y-~~」派が、「隠れ無関心派(裏中二病)」→「エセ自己満足派(脱オタ)」とクラスチェンジしていく構造を分析してきた。
・・・・・・いや、「分析してきた」などと他人事のように語るのは、もうやめよう。そう、ここまでで書いてきた道は、すべて私が自分の足で歩んできた道だ。つまり今回の記事は、「中二病は自分語りのツールである」の原則に基づいた、自虐ネタだったということであるorz。
そんな私が今つくづく思うことは、「『真の無関心派』も『隠れ無関心派』も、ハタから見れば同じオタクにしか見えない」ということだ。
そして、学校という場において周囲からオタクだと見なされることは、即、スクールカースト最下層行きの片道切符が用意されることを意味する。たかが中二病でそこまでのリスクを背負うことは、あまりにもバカらしいことだと思わないだろうか?
たとえ「他人の眼を気にするのはカッコ悪い」というポリシーの下、あえて無関心派を選択していたとしても、ハタから見ればそんなことは全くわからない。
たとえ「他人の眼ばかり気にする自意識過剰な男は嫌い」という女性の意見があったとしても、それは自分がメンクイ女だと思われないための方便である。マジレスしてはいけない*6。「キモい」という感情は人間の本能であり、これに抗うことは不可能である。
もし、この記事を読んだあなたが学生で、いま自分が「隠れ無関心派」に属していると感じたとしたら。悪いことは言わない。今すぐ他の派閥にクラスチェンジした方がいい。それがかつて「隠れ無関心派」という中二病を23歳までこじらせ、散々な苦しみを味わった非モテ男からの、せめてもの忠告だ。(つづく)
【2005 4/15 追記】
「隠れ無関心派」を定義する言葉として、「裏中二病」という名称を考えたので、「最強の中二病」から「裏中二病」に書き換えました。
*1 こういった演出をしたいと考える時点で、他人の目線気にしまくりなことは、言うまでもない。
*2 このようなどうでもいいことにジレンマを感じている辺り、中二病そのものである。
*3 動機は主に「モテたい」。
*4 特に、ステータス派のロゴ物はヤバイ。ヤバすぎる。ゲロ以下の臭いがプンプンするぜーッ!!である。
*5 濁流に飛び込んだ「隠れ無関心派」のその後は、「いちからはじめるファッション入門マニュアル」等でウォチすることができる。
The comments to this entry are closed.

Comments
やっぱしMasaoさん凄いな~。
過去を自虐ギャグと供に鋭く斬って
いますね。
自分もコスプレイヤーとしてオタク世界に
関わってきましたが、いましたよ!
エセ自己満に陥ってしまって
一般人から見ても野暮く見えてしまい
ただひたすらに無関心派を貶めるだけの
どっちかつかずさんが・・・。
(一般社会でも十分に通じる程の
お洒落さんとも若干名知り合えましたが)
自戒も込めていいますし、自分自身も
エセ自己満を通過して今がありますが
ファッション含めて、人生って
「明るい諦観」が必要ですよね?
わき目も振らずにがんばっていた自分が
ある日突然「悟り」を開いて楽になると
自然と一般社会で生きていける自分に
なれるというか・・・。
脱オタサイトの久世氏も仰ってますが。
Posted by: 天馬唯 | April 14, 2005 at 10:06 PM
私もファッション始めて3か月程度は自意識過剰で精神的に潰れてしまいそうでした・・・今はそういうことはないですが、確かにエセ自己満足の時期があったのは事実ですねorz
>特に、ステータス派のロゴ物はヤバイ。ヤバすぎる。
これ、本当に同意見です(^^;)。ロゴ入りってのは恥ずかしくてなかなか買えるものではなかったです(非常に小さいもの1つだけならまだしも)。基本的に相手からどこの製品かがバレにくいものを着るようにしてます(バレると面白くない部分もありますね)。最近は好みのデザインと全体のバランスで決めているので「同調派+自己満足派」に移行してますが。
とにかく脱オタク、脱無関心派を目指すべくファッション1つ行うにもなかなかそういった失敗無しでできるようなことではないですね。自意識が外見に反映されるだけに自身の努力だけでなく、周囲からの適切な指示・承認がないとなかなか中ニ病の束縛から逃れられず、下手をすれば再び元に戻りかねないのは恐ろしいものです。ただ、若い頃にいじめなどで自意識のバランスが大きく崩れれば、こうなっても致し方ない部分もあることもあり得るし、ファッションを実行するかどうかに関して結構、紙一重のところがあるのかもしれません。そういう意味ではオタク・無関心派は本当に特定の人になりやすいというわけではなく、誰でも成り得るのかも知れませんね。
Posted by: bluede | April 15, 2005 at 01:30 AM
天馬さん、bluedeさん、どうもです。
「エセ自己満」は、脱オタ初期に誰もが通る道だと思うんですが、あんまり思い出したくない、恥ずかしい時期ですよね(^-^;
でも、天馬さんも仰るように、こういった過程を経て、だんだんと中二病的自意識も薄まっていき、ファッションを自然なものとして消化できるようになるわけで、脱オタする方は「エセ自己満」を恐れずに頑張って欲しいと思います。
ちなみに私、ロゴ物は今でも絶対に買えません(笑)理由はbluedeさんと同じです。その1でコメントをくださった方に、ひとりもステータス派がいなかったことも、興味深いなと思いました。
Posted by: Masao | April 15, 2005 at 08:49 AM